TSUNAGI のポートフォリオを公開しました。これまで作ってきたものと、いま考えていることを、ひとまとめにして置いておく場所です。
トップには、短い言葉をひとつだけ置いています。「受け継ぎ、見立て、磨き込む。そしてまた、次世代へ繋ぐ」。かっこつけて並べた言葉ではなくて、何かを作るときに実際にこの順番で進めているので、せっかくなので一つずつ説明させてください。
受け継ぎ
新しいものをゼロから生み出したい、という気持ちはあまりありません。長く使われてきたアプリや道具、サービスには、それだけ長く選ばれてきた理由がどこかにあって、まずはそこをちゃんと見たいと思っています。なぜ良いのか、どの部分が効いているのか。見た目の形ではなく、効いているところだけを取り出して受け継ぐ、というイメージです。日本はもともとモノづくりの国で、良いものを作る技術も、それを次に渡していく文化もあったはずなんですが、最近はその伝承がうまく回っていない気がしています。良いものの良いところを抜き出して、次の世代に渡していく。派手な発明よりも、こういう地味な受け継ぎのほうが、やっていて面白いと感じます。
見立て
受け継いだものを、そのまま全部のせると、たいてい使いにくくなります。なので次は引き算です。本当に要る機能はどれなのか、誰の、どの作業を軽くしたいのか。「あったらいいな」を足していくのではなく、「これだけあれば十分」というところまで削っていきます。たとえば TSUNAGI Design という画像ツールは、Canva の代わりになる多機能なものを目指したわけではなくて、ふだん実際に使う機能だけに絞って作っています。機能が多いことよりも、迷わずに使えることのほうを選んだ、という感じです。
磨き込む
最後は使い心地です。ここでいつも基準にしているのが刀で、刀って、飾りを足して強くするものではなくて、要らないものを削って、削って、残ったところで切れ味を出していく道具なんですよね。このサイトに角丸も、ふわっとした影も、かわいいアイコンも無いのは、だいたいそういう理由です。装飾を足すのは簡単なんですが、削るのはけっこう難しくて、その難しいほうをちゃんとやりたいと思っています。
そして、繋ぐ
ここまでがトップの言葉の話で、最後に、なんでわざわざこのサイトを作ったのかを書かせてください。ポートフォリオに並んでいるものは、正直、ぱっと見はバラバラです。米国株の自動売買、BMW E46 M3 の整備とチューニング、工場の設備保全のツール、画像デザインのアプリ。分野としてはまるで揃っていません。でも、作っている側からすると、どれも同じことをやっているだけなんです。良いものを受け継いで、必要なところまで絞って、使い心地を磨く。扱っている対象が違うだけで、中身は全部同じです。分野が違っても共通点はあって、その共通点を貫いて、深めて、形にし続けていくと、なんというか、だんだん一貫したものがにじみ出てきます。そしてその一貫性みたいなものこそが、技術や機能そのものよりも、作品として人に伝わるんじゃないかと思っていて。アートって、たぶんそういうふうに、後から滲んでくるものなんじゃないかと感じています。それを一番ちゃんと見てもらえる場所が、作ったものと、その裏にある考えを並べて置けるポートフォリオでした。だから、このサイトを開きました。
三つの営み
TSUNAGI では、この姿勢を三つに分けています。
- 作(つくる)— プロダクトと、開発中のプロジェクト。
- 伝(つたえる)— 作りながら考えたこと。この記事もそのひとつです。
- 繋(つなぐ)— デザインや開発、運用を、必要としている人へ。
つくって、つたえて、つなぐ。受け継いだものを磨いて、また次へ渡していく。その繰り返しを、ここから続けていきます。